STEP4.1年生教室
「あ、そっち1年生の教室!ま、まってー!」
悠希は急いで琉唯を追いかける。
「ここは…?!」
といいながら勢いよく扉を開ける琉唯。
「ひゃっ!」
教室にいた黒髪の女の子はびくっと肩を上げて驚いた。
「や、山園さん!ここ1年生の教室です!しかも…」
「敬語やだ。」
悠希が話している途中に話を変えてしまう。
悠希はため息をついた。
「…わかった。ここは1年生の教室だよ。しかも中かに人がいるのに勢いよく開けちゃダメだよ。」
「あ、ごめん。」
案外素直に謝るので、悠希もクスッと笑ってしまった。
「…あ、あの、悠希さん…。」
教室にいた1年生の黒髪の女の子が声をかけてきた。
「…な、何か用です、か?」
ロングの黒髪に長めの前髪。目は黄色で眼帯をつけている。
「あ、ごめんね。急に。今、校舎案内ちゅ…」
「なんで眼帯つけてるの?」
また悠希が話している途中で琉唯が話し始めた。
「…あ、あ…」
彼女は下を向いてしまった。
「もう!山園さん!話の途中で話変えないで!」
「あ、無意識だ。ごめん。」
「はぁ。…この子は角田零ちゃん。中学校が一緒でいつも昼休みに図書室に来てくれてたの。…眼帯の理由は…」
悠希はちらっと零を見る。
零は下を向いたままだった。
「…山園さんには言えないかな。」
「そっか。わかった。ごめんね、邪魔して。」
ふるふると一生懸命顔を横に振る零。
琉唯はふとさっき零が座っている席に人形が置いてあるのを見つけた。
「わぁ!これかわいい!針とかあるから手作り?すごーい!!」
「…手作りですけど…そこまで、すごくないです。」
「いやいや、人形が作れるなんてさいこーだよ。また作ったら見せて欲しいな。」
うんうん、と首を縦に振る零。
「ふふっ。ありがとう。」
にっこりほほ笑む琉唯。
そんなやり取りをみて、悠希も笑顔になっていた。
「よしっ!次こっちー。」
琉唯が1年生教室から出ていった。
「はっ!まって!これじゃ校舎案内じゃなくて校内探検だよ〜!」
そう言って追いかける悠希は教室から飛び出して行った。
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