STEP6.スクールアイドル
「…昨日は大変だったなぁ…。」
今は昼休み。
昨日の校舎案内のことを思い返して悠希は少し笑っていた。
「面白い子だなぁ、琉唯ちゃん。」
いつの間にか名前呼びになっているが、それは琉唯が「名前呼びがいい。」と言ったからである。
「…今日は遅刻してなかったなぁ。授業中に寝てたけど…ふふっ。」
琉唯のことになるとどうしても笑ってしまう。
「…だめだめ、今は最新のスクールアイドルの情報を仕入れなきゃ。」
悠希は昨日の帰り道に週四は行く本屋によって、スクールアイドル雑誌の最新刊を買って帰った。
「…わぁ、かわいい〜!…あ!kaRmaだ!…かわいいなぁ…。」
「ほんとだ、かわいいね。特にこの人。」
「でしょ〜!その人は五木 莉久(いつき りく)さんって言うんだよ〜!私と同い年の高校二年生!ほんとに同い年なのかなぁ〜」
「うんうん、スクールアイドルが好きなんだね、悠希。」
「う…ん…?…はっ!琉唯ちゃん!」
驚きすぎて悠希は座っていた椅子から落ちた。
「そんなに驚かないでよ。」
「お、お、驚くに決まってるよ!」
悠希は口をパクパクさせて顔が真っ赤になっている。
「み、見てた?」
「うん、ばっちり。みてたし、きいてた。」
はぁ…。と悠希は肩を落とす。
「…スクールアイドル…。なんか面白そう。…悠希!スクールアイドルやろう!」
悠希が持っていた雑誌をパラパラとめくってから、琉唯は目を輝かせながら悠希に言った。
「え?えぇぇ!?」
驚きが隠せない悠希はついに叫んでしまった。
「す、スクールアイドルって大変なんだよ?作曲して、作詞して、衣装作って、振り付けつけて、練習して…!」
「大丈夫!悠希とならできる!」
何故か自信満々の琉唯。
「…無理だよ…。私なんかに…スクールアイドルなんて…。」
「そんなのわかんないよ。悠希はスクールアイドルやらないの?好きなんでしょ?」
真っ直ぐな目で見てくる琉唯。
「好き…だよ。でも…」
「じゃあやろう!大丈夫。」
「…でもこんな暗い私なんて…」
しゅん…と下を向いてしまう悠希。
「まかせて。」
どん、と胸に手を当てて張り切り出す琉唯。
「悠希、今日私の家にきて!放課後!約束!」
「えっ?えぇぇ…!何するの?!」
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